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弁護士コラム

新弁護士日記(平成22年5月分)

                    チベットの話

 4月18日(日)津ライオンズクラブの結成50周年記念大会に参加し、チベット人歌手の「バイマー ヤンジン」さんの話を聞いた。
 彼女は日本に来て16年になるとのことだが、見事な「関西弁」を使いながらユーモアあふれる話をした。
 海抜4200メートルもある高地に位置するチベットでは然したる産業もなく、識字率も低く、教育が行き渡っていないのが実情で、彼女は祖国の教育レベルを上げるため、講演活動を展開し、資金を募り、これまでに10校に及ぶ学校を祖国に建設寄贈しているとのことで、深い感銘を覚えた。
 1時間以上にわたる話となったが聞きあきることなく、そのユーモアに引きずられながら、彼女の深い思いに涙した。
 日本の素晴らしさに触れ、その素晴らしい国が自己嫌悪に陥っていることが不可思議だと話していた。
 
 日本は、近づく参議院選挙を前に新党ブームが起きている。みんなが焦っている。この国の未来が見えないからだ。
 『家貧しくて孝子出ず』。みんな苦しいときは未来のために団結するものだ。
 問題は一歩出た時どうなるかだ。欲望に翻弄される人生ではなく、抑制のきいた本当に豊かに人生を生きることは難しい。
 その道を日本人は、見出し得ずにもがいている。そのことに気が付いている人は多い。
 破綻しかけた国家をだれがどのような理念を以って救済するか。一人の英雄に任せる時代ではなく、賢明な集団の力が必要な時だ。
 感銘の無い人生は無意味だ。程よい豊かさと感銘のある人生を確立する新しい文明観が必要だ。
 人生は短い。残された時間をそのことに懸けたい。後20年最後の戦いのときだ。
 貧しいチベットを偲んで。

平成22年4月20日
                           弁護士 加藤謙一

(2010-04-20)