HOME - 弁護士コラム一覧 - 2012-05-01

弁護士コラム

動き出した「読書会」

4月27日(金)第2回目の読書会をした。若手弁護士2名と修習生2名が参加してくれた。
題材は文芸春秋3月号に掲載された論文「日本の自殺」であった。同論文は1975年に発表されたものですでに37年の年月を過ぎているので、具体的事実に関しては古い素材が多いが、文明論的視点としては普遍性を持っているように感じ、題材とした。
参加した若者たちにとっては、生まれてもいない時代の論文なので戸惑ったかもしれない。
主宰者としてこれを題材に取り上げた問題意識は、まさに今、「税と社会保障の一体改革」と謳って、消費税があげられようとしており、日本の税体系に変化が起きようとしていることの意味を理解したいと考えたからである。
国民に提供すべき社会保障の在り方に関する哲学・理念を確立することなく、手厚い保障ばかりを追い求めていると際限がなくなる。
その哲学・理念を議論すると、不利益を受ける側からさまざまな意見が出てきて収拾がつかなくなる。そこで決断できない事態の陥り、「何も決められない」こととなる。
そこで、既存の制度は拡充の一途を辿るという繰り返しとなる。かくしてその社会は、その力量を越える要求にのみ込まれて、滅びざるを得なくなる、というのがこの論文の訴える趣旨と思われる。
「自己決定能力の欠如」の仕組み・構造を見極めねばならない。日本社会は多くの識者によって行き詰まりが指摘されており、変革を求める声は高まっているのに、何も変えられない。
「変革」こそ生き延びる道なのに変革ができない社会構造を見抜く必要がある。何が変化を阻害しているのか、10年後・20年後の社会の在り方を見据え、変化の力となるのが私たちの使命ではないか。
そのために、具体的にどのような行動を起こすべきかを学ぶのが読書会の目的である。小さく生まれて大きく育つことを夢見て歩みを進めたい。
5月は大前研一氏「新・国家戦略論」第6章「ゼロベースの大改革」を題材とする予定である。
参加資格に制限はありません。興味・志のある方の参加を呼び掛けます。

平成24年5月1日
                        弁護士 加 藤 謙 一

(2012-05-01)