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弁護士コラム

弁護士一日日記 令和元年7月度 【児童虐待問題】

弁護士1日日記 令和元年7月度
【児童虐待問題】
 令和元年6月は「児童虐待問題」に揺れた月だった。
 6月8日には札幌市で2歳女子が虐待による「衰弱死」が報道された。4月5日に、幼児の泣き声にいたたまれず通報が為され、直前の5月15日に北海道警察が面談しながら保護の必要性を認識できなかった事は警察の観察能力の低さを表したような事件だった。(2歳児平均12キロの体重が6キロしかなかった)
 6月16日には、千葉で今年1月24日、小学校4年生の女子が父親からの虐待により死亡した事件に関し、父親(夫)の虐待を放置していたとして母親が「傷害ほう助」の罪で起訴され、裁判が行われた事が報道され、6月26日には「懲役2年6月、執行猶予5年・保護観察付」との判決が下された。
この事件は、小学校で被害児童が「おとうさんに暴力を受けています」「先生、どうにかできませんか」と悲痛な叫びをあげ、一旦は児童相談所が一時保護をしたのに、父親から強い要求を受けて自宅に帰してしまった事が原因で自動相談所の失態を晒した形となった。
 こうした児童相談所の失敗を受けて、6月19日には「児童福祉法」「児童虐待防止法」の改正が行われた。
 社会が、児童相談所の強制力をアップさせることを後押ししている半面、児童相談所に子どもを奪われたとして必死に取り戻しをしようとしている事件も発生している。
 児童福祉法は児童相談所長に「一時保護」の権限を与えているが、児童相談所に対する通報が必ずしも正確な情報で無い場合もある。
 時には、意図的な思惑からなされる事もある。
 一般にリスク要因が多いとされる、「一人親家庭」「生活保護家庭」「精神的疾患家庭」を対象とする通報は、児童相談所に予断が生ずる可能性があり、一時保護という「親子分離」が児童の権利、親の権利を奪う事も想定される。
 一時保護が開始されると、児童相談所は失敗を恐れ、親の下に子を返さない傾向を持つ。
 子どもを奪われた親は自分の下で暮らすことが子どもの最善の利益にかなうと言う困難な証明をしなくてはならなくなる。
 制度の光と影という問題を見失ってはならない。

令和元年7月1日
                        弁護士 加 藤 謙 一

(2019-07-01)

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