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よくある質問

労働Q&A

6.

A社では、営業職の従業員に対して、従来の営業職の平均的な残業を参考に、1日当たり2時間分のみなし残業手当を「営業手当」として支払っていました。しかし、最近退職した従業員Bは、A社に対して、「営業手当は違法であり、残業時間に応じた残業手当を支払うように。」と請求して来ました。
A社はBの要求に、応じる必要があるでしょうか?























6.























みなし残業手当であることが明確にされていれば、営業手当でカバーされている残業時間を超えない限り残業手当を支払う必要はありません。
現実の残業等の時間がみなし手当でカバーされている労働時間を超えた場合には、毎月の賃金支払において超過した時間に対応する割増賃金が支払われていなければなりません。
労基法は、原則として1日8時間、週40時間を超える時間外労働や午後10時から午前5時までの深夜労働と週1日の休日労働に対しては35%の割増賃金を支払うことを求めています(37条1項)。
しかし法は、上記の方法により算出された割増賃金を下回らない限り、25%(休日35%)の割増賃金に換えて一定額のみなし残業・深夜・休日労働手当を支払うことを禁じていません。
ただし、「みなし手当」が割増賃金の実質ではなく、該当する労働時間が明らかではない場合などには、みなし手当が無効となる場合があります。
では、本件において、みなし手当は有効となるでしょうか?
この点、「みなし手当」が割増賃金の実質を持ち、該当する労働時間2時間分が、営業手当に含まれていることが明らかであれば、みなし手当は有効であると解されます。
ただし、従来から支払われていた固定給を基本給と営業手当に分けて名目だけみなし手当としたような場合や、営業手当を新設して、基本給を減額したりした場合において、給与の不利益変更にあたる場合は、就業規則の変更の問題となります(Q7参照)
なお、みなし手当が無効とされた場合は、労基法通りの割増賃金(営業手当と基本給を合わせた固定給全体に対する割増賃金)の支払をする義務が生じる可能性があります。
みなし手当が有効である場合も、現実の残業がみなし手当でカバーされている労働時間(本件では2時間)を超えた場合には、超過した時間に対応する割増賃金が支払われなければなりません。

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