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よくある質問
労働Q&A
Q |
13. |
従業員の一人が、上司(係長)からパワーハラスメントがあったので、会社に対し、損害賠償を請求したい、と言ってきました。
パワーハラスメントとは何でしょうか? パワーハラスメントがあった場合の、会社の責任について教えて下さい。 |
A |
13. |
(1)パワーハラスメントは、「職場において、職権などの力関係を利用して、 相手
の人格や尊厳を侵害する言動を繰り返し行い、精神的な苦痛を与えることに より、その人の働く環境を悪化させたり、あるいは雇用不安を与えること」と仮 に定義されています。 (2)業務上の指示とパワハラの区別実際には、上司が部下を叱責したことや、具 体的な指導方法(一人を個室に呼び出して注意をし、習得が遅いことから特に 指導するなど)によって、個別具体的に判断せざるをえず、上司の業務上の指 導と、区別が難しい場合もあります。 上司の指導に業務上の必要性があり、手段や方法が社会的に見て相当で ある場合には、パワハラには当たりにくい、と言えますが、同じような成績(習 得が遅いなど)の部下が数名いるのに、1名だけを呼び出したり、注意が長時 間にわたったり、あるいは必要な指導の他に罵倒等をしてしまった場合には、 適切な「業務上の指導」を越えて「パワハラ」と判断される場合もあると考えら れます。 (3)パワハラが、極端な場合(上司が部下を呼び出して殴る、家族に危害を与え る、と脅す)は、暴行や脅迫といった刑事事件になる場合がありますが、多くの 場合はそのようなケースには至らないと思われます。 その場合も、「加害者」とされた従業員が、不法行為に基づく損害賠償責任(民 709条)を負うことがあります。 また、その場合、会社も「使用者」として使用者責任(民715条1項)を負うこ とがあります。 その他に、会社は、従業員が他の従業員からそのような加害行為を受けな いような環境を維持する義務(安全配慮義務)があるので、労働契約上の安 全配慮義務違反として、会社が債務不履行に基づく損害賠償責任を負うこ ともあります。 |