HOME - 弁護士コラム一覧 - 2012-03-30

弁護士コラム

読書会 「グループ2022」第1回例会に寄せて

 第1回の読書会を開催するに当たり、主催者としてその志を明らかにしておきたい。
 1975年、「グループ1984」が共同執筆文書として文芸春秋に「日本の自殺」というショッキングな論文を掲載された。今から37年前、昭和50年のことで、私がまだ司法試験と取り組んでいる時代のことだった。
 「グループ1984」は、ジョージ・オーエルの近未来小説「1984」から来たものであり、たまたま「1984」を読んでいたこともあり、興味を持って「グループ1984」の「日本の自殺」論文にも目を通した覚えがある。
 その4年後、1979年(昭和54年)に司法試験を突破したことから、激動の弁護士生活に入り、「1984」年を意識しないまま今日に至った。(1984年に日本はジョージ・オーエルが予測したような高度管理社会には至らなかったと感じているがその感じ方が問題かもしれない。)
 本年、文芸春秋は再び「日本の自殺」を3月特別号に掲載した。掲載意図はいよいよ「日本の自殺」論文の示唆するところが日本に迫っているとの編集者の予感からであろう。
 「日本の自殺」は、「パンとサーカス」を求める大衆に迎合する衆愚政治が社会を腐らせ、文明(社会)が崩壊することを予測している。
日本という国家は今どこに向かっているのか。20年にも渡るデフレ状態が続いており、どこにも活況を呈するような予感がなく閉塞感の中にいる。
 「税と社会保障の一体改革」が政治の命題となり、消費税値上げが正義としてまかり通っている。まさに「パンとサーカス」のために政治が動いていると思われるがその危険を指摘する政治家はいない。
 このように目的・目標なく流れる日々を送っていると、堕落が始まる。私自身63歳にもなって、自分の命の落としどころも判らないようでは情けない。そこで、はじめようとしたのがこの「読書会」である。
日本はどこに向かっていくのか。「日本文明」は終焉を迎えようとしているのか。それを否定し、「偉大なる社会」の創造役・原動力になる。それが我々の本当の使命なのではないか。
 その意味で、この読書会は、社会参加の在り方をもう一度問うために始める作業である。若い人の参加を希望しています。
 
平成24年3月30日
弁護士 加 藤 謙 一

(2012-03-30)