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弁護士コラム

弁護士1日日記 平成27年5月度

青葉香る
 5月1日、茶室の炉を風炉に替える季節が来た。気温25度を越える夏日がやってくる。
 日本という国にとって一番いい季節となった。
 自然の一部としての人間が、自然に同化して生きて行くのに一番穏やかな季節だ。
 ネパールで大きな地震が起こり、6000人を越える人が犠牲となった。大地は必ずしも安定なものではなく、災害はどこにでもやってくる。
 人が生まれ、生涯を「健やかに」生きることは難しいことなのかもしれない。
 自然との葛藤、社会との葛藤に加えて家庭の中での葛藤が多発している。
 それゆえか、精神的に病んでいる人も増えているような気がする。心療内科が大繁盛する時代となっている。
 若葉の季節は、野に様々な草花が咲き誇り、自分を主張しているところに魅力がある。一人一人の個性豊かさが社会の豊かさを示すと似ている。
 法律事務所は繁盛する必要はないが、依頼者の個性に着目し、花を咲かせるが如く、道を見出してあげるのが仕事だ。病んだ小鳥が羽を休め、やがて飛び立って行く様に。
 法華経第5章「薬草喩品」では、「三草二木の譬え」が説かれている。厚い雲から落ちる雨(法雨)は、等しく大地を潤すけれども、大地からは。大・中・小の様々な薬草(三草)が生え、大・小の樹木(二木)が生える、仏の教えは一つであるが、それを受け取る衆生は機根の差異により、様々に受け、表現することを示していると説かれる。
 法律事務所を訪れる人の思いや置かれた位置は様々だが、その人にあった花が咲くよう、案内するのが我々の役割であろう。

   平成27年5月1日
                                    弁護士 加 藤 謙 一

(2015-05-01)