弁護士コラム
弁護士一日日記 令和元年11月度【洪水大国ニッポン?】
弁護士1日日記 令和元年11月度
【洪水大国ニッポン?】
10月は台風被害の連続だった。とりわけ東日本で洪水被害が続出し、床上浸水被害が多発した。
犠牲者が100名に上り、痛ましいのは避難途中に遭難する事件が多発したことだ。洪水被害は深刻だがたいてい2階までは浸水しない。非難するより2階に上がった方が安全な場合もある。
数10の河川が氾濫するという事は河川行政が全く機能していないことを示す。堤防の構造が「1000年に一度」の雨に耐えうるよう設計されていたと表現しているが、過去1000年に発生していないような大量な雨が降り始めていると行こうが問題であり、過去に学ぶものがない。
10月に「気候変動サミット」の話を書いたが、その深刻さを表現するような事態が起きている。
昨年は西日本だったが今年は東日本がやられた。来年、オリンピックの年はどのようなことが起こるのだろうか。安全な所はない。
オリンピックと言えば「マラソン・競歩」が札幌開催と変更になった。東京都の小池知事は容認できないとの立場だが、多くの国民はやむを得ないと考えているのではないか。
ここでも、異常気象(高温問題)が争点となった。7月末から8月にかけた時期は日本の最も暑い季節だ。その中でのマラソン等の時間をかける競技は実施困難であろう。選手に「暑さ対策」を求めるレベルを超えている。オリンピックは開催都市のためにやるわけではない。「アスリートファースト」を掲げ開催する以上、札幌開催はやむを得ないと思うのは多くの国民の意見だろう。
東京としてはこれまでの暑さ対策事業が無駄になったという思いであろうが、洪水被害で明らかなように、人間のする対策を遥かに上回る規模の被害が出ているのは気候変動問題だ。
国を挙げて最良の企画でオリンピックを迎えるべきであろう。
令和元年11月1日
弁護士 加 藤 謙 一
(2019-11-05)