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弁護士コラム

弁護士一日日記 令和3年3月度【人新生(ひと・しんせい)時代に生きる】

弁護士1日日記 令和3年3月度
【人新世(ひと・しんせい)時代に生きる】
 昨日の我が国のコロナ感染者数は「999人」との報告があったが、全国6府県での緊急事態宣言が解除された。
残るところ首都圏4都県のみとなった。一方でワクチン接種も始まり、少なくとも我が国におけるコロナとの戦いは終息に向かうものと思われる。
世界に目を転ずると昨日の新規感染者数は374$#44;467人、死者8$#44;057人と報告されており、一時の爆発的な増加は抑えられているものの終息に向かっているとは言えない。

1年間の自粛期間に多くの書物と向き合い、考える時間を取ることができた。
昨日から斎藤幸平著作の「人新世の「資本論」」を読み始めた。
人新世とは「人類が世界を破壊しつくす時代」と定義されている。
78億人にも達した世界の人間の諸活動により地球資源が食い尽くされる時代、それが人新世である。
新型コロナウイルスによる死者は世界で「2$#44;525$#44;656人となった」と今朝の新聞では報告されている。
しかし、78億の世界人口は今も増大を続けている。2030年には85億人に達するであろうと予測されている。
一体、いつまで右肩あがりが続くのであろうか。地球が持たないというのが多くの学者の説だ。
人生は有限であり、私自身が何かができるのはあと10年であろう。2030年という大事な時代を目指し、行動を開始すべき時が来ている。
斎藤幸平は「資本主義の限界」を解こうとしているのかも知れない。効率的な欲望の追求システムである資本主義を乗り越えないと地球崩壊の「ポイント・オブ・ノーリターン」を越えてしまうという危機感が底にあるようだ。
人類の歴史は欲望の歴史だ。肥大化への欲望を如何に止めるか。斎藤幸平は「資本論」を持ち出し、解答を見つけ出そうとしているように思えるが「富の分配」というシステム変更だけでは今の問題は解決しない。
まだ、読み始めたばかりなので読了した後で、来月に続編を書きたい。

令和3年3月1日
                        弁護士 加 藤 謙 一

(2021-03-01)