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弁護士コラム

加藤弁護士 一日日記【出生数 初の80万人割れ】

弁護士1日日記 令和5年3月度
【出生数 初の80万人割れ】
2022年度の我が国の出生数が初めて80万人を割ったとの報道があった。
100万人を割ったのが2016年だったが、それからわずか6年で80万人を割るという事態となった。
毎年3%を越える率で出生数の減少が続いている。このままでは10年も経たずに50万人を切る事態になることが想定される。
新聞各紙は「経済的理由による出産意欲の低下」が原因にあると分析しているが果たしてそうか。
戦後の団塊の世代の一因である私たちの時代は皆、貧しかった。それでも年間270万人に迫る出生数があった。当時の親たちは経済的理由で出産を控えるという選択はしなかった。
敗戦後のどん底にあったが、盛り返して見せるという民族的エネルギーがあったのではないか。
高学歴(大学進学)が当たり前の時代となり、その教育費(子の生活費)が大きな負担となっていると解説されている。
確かに子供一人を都会に送り出し、生活費を支援するとなると毎月15万円程度の支援が必要となり、親の生活費を削って対応出来るのは1人のみで2人が揃って都会の大学へ行くという事態には対応不可となるだろう。
教育費の無償化、子どもの生活支援策(奨学資金の貸与)は、政治の課題であろう。
しかし、国民の結婚観・家族観・国家観等の価値観に変化が起きない限り、2030年代は出生数50万人という時代に突入するだろう。
一方で、死者数の増加が続き、我が国の人口減少は毎年100万人を越える勢いで進んでいくだろう。(すでに昨年は70万人以上の減少となった。三重県でも出生数1万1180人に対し、死者数は倍以上の2万3569人で自然減は1万2389人となっている。)

一方、2月24日でロシアのウクライナ侵攻から1年が経過した。しかし、戦火は止む気配がない。中国が停戦を呼び掛けている。ロシアの「侵攻実績」をそのままにして「平和」を呼びかけるのはロシアに利するものでウクライナは受け入れないだろう。困難な時代が始まった。

令和5年(2023年)3月1日
                        弁護士 加 藤 謙 一

(2023-03-01)