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よくある質問

労働Q&A




15.




A社は愛知県名古屋市に本店をおき、金沢市と大阪市に支店、営業所を持つ会社です。従業員、の転勤は2~3年ごとに行われていました。
Bは、入社してから約10年間、名古屋市において営業として勤務していました。しかしA社はBに対し、名古屋市から金沢市への転勤を内示したところ、Bは、「父と妻子が名古屋市内に住んでいて、妻は父の介護をしながらパート勤務をしているので、自分が金沢へ行くと、育児に支障を来すし、単身赴任となってしまう」などの事情を理由に転勤を拒否しました。
A社は、Bの拒否に関わらず、Bを金沢市へ転勤させることができるでしょうか?











15.











就業規則などに、配転に関する規定と採用時の合意などがあれば、Bには会社の転勤命令に応じる義務があります。
Bが命令を拒否し続けた場合は、会社の業務命令違反として、Bを解雇することもできますが、解雇を検討するに当っては、慎重な判断が必要です。
雇い入れ時に、特に勤務地を限定する合意もなく、労働契約上も転勤が前提となっている場合は、原則としてBには転勤の義務があります。
ただし、会社の転勤命令が、権利濫用に当たる場合には、Bにはこれに応じる義務がないことになります。
転勤命令が権利濫用に当たるかどうかは、業務上の必要性や、労働者に与える不利益の程度、代償措置の有無、などが判断要素となります。
本件では、雇い入れ時に、特に勤務地を限定する合意もなく、労働契約上も転勤が前提となっている場合に当たり、原則としてBには転勤の義務があります。
次に、Bの不利益の程度を考慮し、また、Bが単身赴任になることを考慮して、手当を支給したり、Bの負担軽減のための代償措置を十分に行ったかどうか、が判断要素となります。

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